み「雨か・・・。
傘ないのに。最悪」
しょ「そうだな」
み「ショウタロウ先輩!」
しょ「そんなに驚くなよ。
・・・俺も傘忘れた」
み「うーん」
しょ「ここでさ、黙って傘かして
自分ずぶ濡れで帰るとかしたら
かっこいいのにな。わりーな」
み「いえいえ。
そんな気遣いなんて
いいですよ」
しょ「まぁ2人で
ずぶ濡れになって帰ろうぜ」
先輩・・・と帰る?
なわけないかっ。
あっ、申し遅れました。
私は泉口ミアです。
み「そうですね。さようなら」
しょ「2人で帰ろうぜ」
み「あっ、はい」
嘘でしょ。
・・・☆・・・☆・・・☆・・・
昨日は結局、
ぎこちない会話をしただけだった。
なんでこういうときに
もっとアピールしなかったのか・・・。
しょ「おはようっ」
み「おはようございます・・・」
しょ「昨日はありがとな」
み「あっ、こちらこそ」
なんでこんなときに
廊下ですれ違ってしまうのか。
はぁ・・・。
ひ「おはよう♪ ミア!」
み「おはよう」
ひ「元気ないね」
み「そう・・・かな」
ヒビキっていつも元気。
羨ましいや。
・・・☆・・・☆・・・☆・・・
ひ「ミア? ミア!」
み「あっ・・・」
いつの間にか
授業に集中できなくなった。
・・・バカッ。
ショウタロウ先輩のことばかり
考えちゃってよ。
もしかして・・・、
先輩のこと
好きになっちゃったのかな?
ひ「本当に大丈夫?」
み「うん。大丈夫」
ひ「元気出してよ」
み「わかった・・・」
・・・☆・・・☆・・・☆・・・
し「ミア!」
み「シオリ」
し「ねぇねぇ聞いて!
ショウタロウ先輩がね、
部活中に骨折しちゃったんだってー」
先輩が・・・?
骨折。かぁ。
み「えっ」
し「やっぱり。
そういう反応すると思ったわ。
ヒビキから聞いたよ。元気ないって」
そんなに私
元気なかったの?
し「元気ない理由がわかったー!
好きなんだね、
ショウタロウ先輩のことが!」
バカッ。
このシオリめ。
シオリの双子の姉として
生きてきたこと損したわ。
・・・あっ、
私とシオリは双子で、
姉は私で妹がシオリ。
み「ちょっ・・・全く。
その通りですよ」
し「マジかー。
私もショウタロウ先輩好きでさ。
前に雨だったとき
傘貸してくれたんだ!」
傘・・・?!
あっ。あのとき先輩、
傘持ってなかったなぁ。
オーマイガー。
忘れたんじゃなくて
シオリに貸してたのか。
し「ライバルだね。ミア」
み「ら、ライバルって
そんな大げさな」
し「本気だよ。私」
しょーもない。って
思ったり思わなかったり。
・・・☆・・・☆・・・☆・・・
ひ「ミア! 聞いたよー。
シオリと好きな人かぶったんでしょう?」
み「えっ。あっ。
うん・・・まぁね」
ひ「私、ミアの方
応援しよっかな」
み「はい?」
ひ「なんとなく。ね」
み「ふーん」
ひ「私の推理だけど、
ショウタロウ先輩は
ミアのこと好きだと思うの」
み「えっ」
ひ「一緒に帰れて
よかったじゃん」
ヒビキは私から
目をそらしてそう言った。
ヒビキも・・・。
み「無茶しちゃだめだよ。
ヒビキ」
ひ「え」
み「なんでも相談のるよ」
ようやくヒビキは
私と目を合わした。
ひ「実はね・・・」
・・・☆・・・☆・・・☆・・・
ショウタロウ先輩の
見舞いにいった。
ガチャ。
み「先輩」
息を呑んだ。
し「安心してください、
はいてますよ」
しょ「ぶっはははー」
楽しそう・・・。
私はドアを閉めた。
帰ろ・・・。
小さな花を持ったまま
帰ろうとしたところだった。
ひ「ミア!」
み「ヒビキ! どうしたの?」
ひ「そりゃ、見舞いだよ」
み「いかないほうがいいよ、
シオリがいるから」
ひ「ふーーーん」
ヒビキはドアを開けた。
み「待って」
またシオリとショウタロウ先輩の
話し声が聞こえる。
聞きたくない・・・。
し「んでね・・・」
しょ「マジで! やっばー」
楽しそうな話し声が
私の心中にこだまする。
ひ「ショウタロウ先輩!」
しーん。
しょ「やぁヒビキちゃん。
お見舞い? ありがとう」
ひ「ミアが、先輩に
言いたいことがあるそうです!」
しょ「ミアが?」
は、い、?
ヒビキは私に口パクで
「頑張って」と言った。
まさか告白?
シオリがいるのに?
しょ「なんだよ」
み「あ、あの・・・」
しょ「わりぃシオリ。
なんか真剣な話っぽいから
ちょっと出てくれないか。
ヒビキちゃんも」
し「えっ。でも・・・」
しょ「シオリとは後で話するから」
シオリは私を睨んできた。
そりゃそうだよね・・・。
ごめんなさい。シオリ。
でも私は
ショウタロウ先輩のことが
好きなんだ。
み「あの・・・」
しょ「あのさ! 俺さ、好きだ」
頭が真っ白になった。
私に好きって言った?
いや、私のことじゃないよね。
しょ「ミア。
ずっと前から気になってたぜ」
み「先輩。
私もいまそのことを
言おうとしました。
好きです」
しょ「こんなダッサイ俺のことが?
ミアって意外と男子の見る目ねーな。
将来アブナイ奴と結婚するなよ」
み「なんなんですか!笑」
しょ「告白のときってさ、
好きですってバラのはな
渡すのがよかったのかな?」
み「逆にダサいですよ」
しょ「マジで!」
み「私はそういうの苦手です」
しょ「嘘だ」
微笑ましい会話だった。
し「先輩。まだですか」
しょ「あとちょっと待ってくれない?」
し「長すぎます」
しょ「ちょーっとだけ」
し「はーい」
しょ「ミア。
シオリには内緒な」
し「はい」
密やかに私たちは
カレカノ関係になりました。
あのあとシオリは
ショウタロウ先輩に
告白したそうで。
でもシオリ、家ではさほど
寂しそうにしてなくて、
いつも通り私と話しました。
きっと察してくれたんだと思う。
・・・☆・・・☆・・・☆・・・
ヒビキは最近
シオリとケンカしたらしい。
ヒビキにとっては
人生初のケンカ。
シオリはあっさりと
ショウタロウ先輩にそのことを
話したらしく・・・
ヒビキも見舞いにきてくれたことを
味方にして
2人っきりにさせたんだそう。
いい奴じゃないか。
そう思った。
私の彼氏は
私の憧れの先輩であることは
かわりない。
☆END☆