いつかは・・・
いつかはもう一度会えるかな・・・
・*・―――・*・―――・*・
私、秋田汐梨、中2。
クラスでは目立たない方で、
友達はあまりいないかも・・・
恋愛経験は・・・
あります。
一度だけ。
今もあの人のこと、
思い続けてます・・・
・*・―――・*・―――・*・
小5の時・・・
?「汐梨ちゃーん!
また会えたね!」
汐「隼也くん!
私も会いたかった!」
私の初恋相手、隼也くん・・・
私より1つ年上で、
かっこよくて、
優しい人・・・
隼「俺、汐梨ちゃんが好きです!」
汐「私も隼也くんのこと、
好きだよ!」
隼「でもさ、俺達って、学校違うし、
この桜の木の下でしか会えないよな」
汐「じゃあ、毎日! 毎日会おうよ!」
隼「うん! 約束な!」
そう言って、私たちは
約束の指切りをした・・・
・*・―――・*・―――・*・
「は~・・・」
?「どうしたの? 汐梨」
「あ~す~か~!」
私は明日香にしがみついた。
明日香は私の大親友。
何でも相談にのってくれる、
力強い味方。
「隼也くんに会いたいよ~!」
明「ま~たその話?
いい加減あきらめたら?
イケメンなんてあちこちにいるよ?」
「私は隼也くんのことあきらめない!」
会えるまで、
ずーっと待ってるもん!
明「でもさ、会いたいなら
その桜の木に行けばいいじゃん」
「行ってるよ!
毎日行ってるよ!」
明「なら何で会えないの?」
「・・・分かんない・・・
忘れてるのかな!
まあ昔の話だし、忘れても・・・
忘れても仕方ないよね!」
無理やり笑顔をつくってみせた。
ホントは忘れてるなんて
さみしくて・・・
泣きたいんだよ・・・
明「汐梨・・・」
*。・ 放課後 ・。*
私は明日香と遊ぶことにした。
近くの公園で、
ブランコに乗っていると・・・
明「ねえ汐梨。
何で隼也って人と会えないのか
考えてみたんだけど・・・
もしかして、隼也って人と会えたのって、
1週間だけじゃない?」
「そうだけど・・・何で分かるの?」
明「やっぱり!
実はね、お兄ちゃんに聞いたんだけど、
金子隼也って、
お兄ちゃんの同級生だったんだって」
「え・・・」
明「まあ、同級生っていっても、1週間だけ。
それで、偶然その桜の木の下で、
汐梨と会ったってこと」
「じゃあ、隼也くんは!?
今どこに!?」
明「分かんない。
お兄ちゃんも知らないみたいだし。
だから! 汐梨、あきらめなよ!
隼也と会えたのは、偶然!
もう会えないかもしれないんだよ!」
「そうだけど・・・
あきらめたくない」
私は明日香と遊んだあと、
あの桜の木のところに行ってみた。
「ん?」
桜の木の根っこの部分に、
手紙が落ちている。
「手紙・・・?」
封筒の裏を見ると、
〈汐梨へ
金子隼也〉
と書かれていた。
「隼也くん!?」
私は急いで封筒を開けた。
〈汐梨へ
会えてなくて、会いに行けなくて
ごめん。ずっと会ってないけど、
汐梨のこと忘れてないよ。
汐梨。俺、汐梨に会いたい。
だから、もう一度あの桜の木に
来てほしい。
俺は1週間だけこっちに来てるんだ。
17時までしかいられないから、
17時を過ぎたら俺はいない。
だから、過ぎてたら、また明日にしてほしい。
この手紙が汐梨のもとに届くように、
俺は祈っている。
金子隼也〉
「隼也くん・・・」
今は・・・16時54分。
ダッシュで行けば、間に合う!
私は全速力で走った。
自分でもびっくりするぐらい
はやく走った。
「隼也くん・・・!」
・*・―――・*・―――・*・
「隼也・・・くん・・・」
息を弾ませて、
私は突っ立っていた。
桜の木の下には、
隼也くんが立っていた。
変わってないな・・・
「・・・隼也くんっ!」
私は走って、
隼也くんに抱きついた。
隼「しお・・・り?」
「隼也くん! 汐梨だよ!
会えて嬉しい!」
私は最高の笑顔で言った。
隼「良かった・・・また会えて!」
すると隼也くんが
私をグッと引き寄せた。
隼「大好きだよ、汐梨・・・」
「私も!
隼也くんのこと、大大大好き!」
桜の花びらが散って、
抱き合っている私達を
包んだ・・・
満開の桜の木の下での
ラブシーン・・・
桜の花びら達だけが、この瞬間を
見ていた・・・
*END*