「あのさ、
俺、お前のこと好きかも」
「私もかも」
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私は南沙良!
高1。
高校でモテモテで
クラスではイケてる
グループに所属――
とは、いかなくて 笑
クラスでも下の方の
クズなグループに所属中。
イケてるJKを
思ってたけど
なかなかそうはならなんだ。
なんでかって?
なんでだろうね、
うふふっ。
元はといえば、
イケてたのにな。
そう、
あれは1年前。
・--------- 中3 ---------・
沙良「おっはよー!」
皆「おはよ~!」
響「朝からモテモテね、
沙良」
沙良「響のが
モテるくせにぃ」
うん、私はクラスでは
中心グループだと思う。
それで、
響こと、宮原響は
私の大親友!
今年初めて
同じクラスになったの!
響ってメイクとかも
バッチリで
髪も巻いてて綺麗で
爪にもネイルがギラっギラ。
でも、ギャルとは
違うんだよ。
そこが可愛いポイント。
だから、響は
女子からも男子からも
好感度がいい。
翔「よっ、
沙良ひび」
沙良「あっ、
翔おはよ」
響「翔くぅ~ん(ハート)
おっはよぅ!」
響はいい子だ、
うん。だけど
この性格が私は苦手。
そう、
ぶりっ子。
可愛い子って
ぶりっ子が多いって
聞くけど、
ほんとなんだな、
って思う 笑
翔「おぅ」
でも親友だから
許しちゃう 笑
きっと響は
翔のことが
好きなんだな、って。
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沙良「響って、
翔のこと好き?」
響「えっ!?
なんでぇ?」
沙良「何か、
見てて分かる 笑」
響「やだやだぁぁ。
そんなうち
顔に出てたぁ?」
沙良「うん 笑」
翔「なーんか、
俺の話題出てた?」
響「キャッ、翔!
ビックリさせないでよぉ 笑」
翔「ごめんよ~
って、謝らねぇよーだ」
響「もぉ!」
男子A「翔! 来て!」
翔「おぅ!
じゃぁ、またね(ニコッ)」
響「キュンっ」
沙良「もー、
声に出てるよ、
恋する乙女はいいねっ」
響「もぉぉ!」
好き、ってなんだろう。
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よく、漫画で
見たことがある。
女子には
表裏があると。
ぶりっ子してるやつは
特に裏が酷いこと。
そして、親友でも
裏切られる、
ということ。
そして体育館裏に
呼び出されて――
叩かれる寸前で
叩こうとした女の子、
好きな男が現れる。
女子は必死に
弁解するも出来ず、
逃げて、はい。
カップル誕生!
これは、漫画の話だ。
正直言おう。
つまらない。
どうせ、
起きないと思うし。
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響「何か沙良に聞いて
もらったら
安心したよっ!」
沙良「そ!
良かった」
響「でね、
告白しよぅと
思うのっ!!」
沙良「えっ?」
響「だーかーらー、
告白しよぅと
思うのっ!」
沙良「お、おめでと」
響「まだしてないつーのっ 笑」
展開が、早い。
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響「行ってくる!」
沙良「頑張れ!」
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響、まだかなぁ。
響、どうせ
OKだよなぁ。
私、ボッチかぁ。
私、ボッチ
下校かな 笑
翔「あっ、いた!
さーらーっ」
沙良「あれ?
翔? 響は?」
翔「響?
それより
俺の話聞いてよ」
沙良「え、うん」
翔「あのさ、
俺、お前のこと
好きかも」
・・・はい、はい。
え
響は?
なんで?
どこに行ったの?
響は?
響響響響・・・
でも。
沙良「私もかも」
翔の笑顔を見ると
元気が出た。
翔と会うと
とても嬉しかった。
翔と話してると
楽しかった。
翔が響と話してると
なんかザワザワした。
響が翔の話を
していても。
翔「ほんとっ!?
うれしい、
じゃぁまた明日ね!」
沙良「え、うん」
展開が早い。
もう1度言おう。
展開が早い。
でも、
いいよね、
響に言えば。
ごめん、
わたしも翔のこと
好きだったって。
響「さ、ら?」
沙良「響!」
響「何今の?
うちが告白しようとする
手前に?
何やってんの?
応援してくれたんじゃ
なかったの?」
沙良「響・・・ごめん。
翔に好きって言われて
気づいちゃったんだ」
響「ごめんじゃないわよ!
信じてたうちがバカだったわ。
友達やめよ、親友も。
バイバイ。永遠に」
沙良「そんな、
響、誤解だよ、
ごめん――」
今まで仲良く
築いてきたのに。
私と響の友情は
一瞬で崩れ落ちた。
・--------- 翌日 ---------・
沙良「ごめん、
やっぱ翔とは
付き合えない」
翔「どうして?
昨日良いって
言ったじゃん」
沙良「ごめん、
色々あって」
翔「嘘つき、
自分勝手」
沙良「ごめんって」
昨日まで
上手くいっていたのに。
この2日間で
友達を2人も
失ってしまった。
・--------- 翌日 ---------・
ガラッ、
沙良「おはよー」
シーン。
あれ?
私だよ?
沙良だよ?
なんで返事しないの?
女子A「沙良って、
あれでしょ、
自分勝手」
女子B「そうらしいね。
あと友達裏切る」
女子C「響ちゃん
裏切られたらしいよ」
女子D「うっわ、
さいてー」
響「そうなのっ、
ぐすん」
ビックリした。
なんで?
それしか
出てこなかった。
うざいとも
死ねとも。
ただ、なんで?、
と。
仮にも
親友だったよね?、と。
男子A「わー、
嘘つき沙良が来たよ」
男子B「マジ、行こっ」
翔「う、うん」
これまた、
ビックリした。
これも、
なんで?、と。
仮にも、
1日の夜だけでも、
彼氏彼女という
関係だったよね?、と。
あぁ、人って
信じてはいけないな、
人ってゴミだな、
この時初めて知った。
・--------- 1年後 ---------・
と、まぁ。
私にはこんな
過去があった。
だからだろうか。
友達も彼氏も
必要ないと思ってる。
どうせ、
些細なことで崩れて
人に睨まれるぐらいなら、
クラスの下のグループに
いた方がマシでしょう。
でも、心のどこかでは
仲直りしたい、
と思っている
自分がいることは、
まだ心の奥に閉まって
おきたかった。
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それは、
突然に訪れた。
汐梨「南、沙良ちゃん?」
沙良「えっ、はい!」
明日香「覚えて、ないかな?
私達双子の」
あすしお「明日香と汐梨だよ」
沙良「えっ?? あっ!」
話そう、
もう少し前の私を。
私は小学校は
響と違った。
小学校6年の2月頃
転校してきた。
2月だから
小学校での思い出は
あまりない。
明日香「えへっ、
思い出してくれた?
周り知らない人ばっかだし、
仲良くしよ!」
沙良「うん!
いいよ!」
汐梨「っか、
沙良ちゃん
変わったよね。
もっと昔は
キラキラしてたのに」
明日香「うんうん、
誰かわかんなかった。
前のが可愛いよ!」
沙良「え、そうかな」
汐梨「うん!
前みたいに
可愛くしよ?」
沙良「えっ」
あすしお、
ひどいよ。
ううん、
酷いのは私だ。
昔のトラウマから
逃げてるだけ。
友達が出来る、
というチャンスを
逃すな。
沙良「そうだねっ!
してみよ!」
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廊下を歩いてみた。
皆がこっちを
見てるような気がした。
視線が怖かった、
前の視線みたいな?
明日香「皆、見てるよ」
汐梨「やっぱ
こっちのがいい」
男子T「あっあの、
名前なんて言うの?」
男子U「友達になろ!」
沙良「あ、えと。
1年B組、南沙良。
よろしくね!」
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私は変われた。
昔みたいに。
ううん、
昔の以上に。
そして。
翔「沙良、行くぞ」
沙良「うんっ!」
翔が謝ってくれた。
響が謝ってくれた。
明日香という
新しい友達が出来た。
汐梨という
新しい友達も出来た。
そして、
翔という
彼氏が出来た。
えへへ、
私バツ1だ 笑
でも、人生って
楽しいよ。
どんなに
苦しくてもいい。
ホントの私を
知ってる人が
いると思うから。
あと、すぐに
友達を疑っては
ならない。
ちゃんと事情を
聞かないと。
そして、
いつでもあなたの行動が
あなた自身の未来を
変えている。
だから
生きるんだ。
1秒と1秒。
心のタイマーは
加速していく。
*end*