今日は席替えの日。
アンナ「サラ、席近いね!!」
サラ「ほんとだー!
ラッキー!」
隣の人は、、、
ユイト「おっ、
隣初めて、、、だな!
俺小原ユイト。
よろしくな、サラ!」
サラ「よろしくね」
小原ユイト。
明るくて、天然で、
いつも友達の笑顔に
囲まれてる人。
私の中でのユイトの
イメージは
部活のサッカーに熱中してる、
要するにサッカーバカ、
みたいな感じ。
ユイト「俺さー
勉強苦手だから、
教えてちょーだいね笑」
サラ「りょーかい笑笑笑笑笑」
いつも目立ってるユイトとは、
めったに喋ったことないから、
少しだけ緊張する。
キーンコーンカーンコーン♪
さっそく
授業が始まった。
2時間目は数学だ。
私は数学が大の得意。
それに今日は
私の大好きな方程式の
応用の問題。
ユイト「サラ?
これどうやって解くの?」
サラ「それは、
-4を入れ替えて
+にするんだよ」
ユイト「おー!
すげー!!
ありがと!!」
クスッ。
教えてあげただけで
こんなに喜ぶんだ。
なんか小学生みたい。
ユイト「なあサラ、
これは?」
サラ「それは今の
ユイトのやり方で
合ってるよ」
ユイト「そーなの?!
やばい、俺天才だ」
サラ「おめでと笑笑」
こんな会話が
毎日のように続き、
お互いに
心を許し始めてきた。
少しだけど、
なんか嬉しい。
もっとユイトと
いっぱい話したいな。
勉強のこと以外にも、
たくさん話したい。
* ――― * ――― *
次の日。
その日の1時間目は
社会だった。
先生「地図から
日本の位置をさがせー」
問題が簡単すぎる。
だから私はすぐに見つけた。
ふとユイトの方を見ると、
ユイトの視線は日本ではなく、
全く違う
オーストラリアの方に
向いていた。
ユイト「サラー、
日本ってここ?
俺社会苦手ー」
サラ「違うでしょ笑笑
そこはオーストラリア」
ユイト「そーなの!??
ずっとここが
日本かと思ってた」
もー笑笑
そんなんで今まで
地理の授業の時どうしてたのよ、
そうツッコみそうになった。
ユイト「サラなんか
ニヤけてる」
サラ「え、うそ笑笑」
ユイト「何考えてたのー?笑笑」
サラ「なーいーしょー!!」
ユイト「えーーー笑笑」
なんでだろ。
ユイトと話してると
自然と笑顔になれる。
いい友達だ、
そう思った。
* ――― * ――― *
次の日は
理科の授業があった。
液体を使った実験だ。
私は理科があまり
得意ではない。
先生「じゃあ実験は
隣の人どうしのペアで」
ユイトとペアか。
話しやすいし、
なんか良かったかも。
ユイト「サラ、
試験管と温度計、
どっちやりたい?」
サラ「んーーー、
どっちでもいいかなー」
ユイト「じゃあ、、、
じゃんけんだな!
勝った方が温度計!」
「「じゃーんけーんぽん!」」
ユイトが勝った。
まあどっちをやっても
あんまり変わらないし、
どっちでもよかったけど。
ユイト「で、サラの試験管に
俺が温度計入れて、、」
サラ「りょーかい」
ユイト、
理科の実験の時だけは
イキイキして、
私をリードしてくれる。
もしかして
理科得意なのかな。
そんなことを考えていたら、
手元が斜めになって
試験管のお湯が
手にかかってしまった。
サラ「あっついいいいい!!」
ユイト「サラ、
手貸して!!!」
ユイトは
私の手を掴んで
水道の前まで
引っ張ってきてくれた。
そういえばユイトって
体細くて小顔な割には
手大きいな、とユイトの手を
見つめてしまっていた。
ユイト「熱くない?!!
痛い?!!」
サラ「大丈夫だよ、
あんまり熱くなかった」
ユイト「ごめん、
俺が試験管やれば
良かったよな、」
そんな、、、
ユイトが
謝ることじゃないのに、、、
私の注意不足なだけなのに、、、
ユイト、
いい人すぎるでしょ!!!
* ――― * ――― *
家で宿題をやっていると、
今日ユイトに教えてあげた
問題が出てきた。
ユイト、
今頃何してるかな、、、
あの時のお湯
かからなかったかな、、、
誕生日
いつなんだろう、、、
彼女いたこと
あるのかな、、、
好きな人、
いるのかな、、、
気がつけば
ユイトのことばかり
考えていた。
あれ、、、?
なんで私、
ユイトのこと考えてるの?
あれ、まって、
もしかしてこれって、、、
私、ユイトに、
恋してる?!!!!
* ――― * ――― *
このことを次の日、
すぐアンナに相談した。
アンナ「あらぁサラ、
ユイトに恋しちゃった?」
サラ「多分、、、」
アンナ「私、応援する」
サラ「ありがと
アンナァァァ!!」
そろそろ
1時間目が始まる。
筆記用具出して
準備しとこう。
あれ?
あれれれ???
消しゴムが、、、
ない!!!
やばい、
忘れたかぁぁぁ!
どうしよう。
よりによってなんで
消しゴムなのよー!
こんな時こそ
アンナだ!
サラ「アンナ
消しゴム2個ない?」
アンナ「持ってない、
ごめん、、、
あ! でも!」
アンナ「ユイトー!!
消しゴム2個持ってない?
サラが忘れてきちゃって!」
アアアアンナ!!
なんてことを、、、!
ユイト「俺が2個持ってない
わけないだろ?」
え、持ってるの?笑笑
アンナありがと、神。
そういってユイトは
自分の消しゴムを
取り出した。
あれ?
1個だけ?
そして定規で
消しゴムを半分に
切り始めた。
サラ「ユイト、
そこまでしなくていいよ汗」
ユイト「え?
いいんだよ。
サラにはいつも
お世話になってるから!」
ユイト、
優しすぎる。
こんなことされて
好きにならない人なんて
いないよ、、、
ユイト「はい!」
サラ「ありがと泣
ほんとありがと!!」
ユイト「んーん、
いいんだよ」
キーンコーンカーンコーン♪
授業がはじまる。
英語か、、、
あんまり好きじゃない。
でも隣にユイトが
いてくれるだけで、
その授業はたのしくなる。
――好きな人の力ってすごい――
英語では授業の最初に
単語のビンゴをする。
私はこのビンゴで、
いつもいつも
リーチばっかりで
ビンゴになったことはない。、
今日もリーチかぁ。
なーんかいっつも
惜しいんだよねぇ。
そう思っていると、
ユイト「サラ、リーチ!!!
惜しい!
あとは"love"だけか。。」
サラ「ね、いつもなんだよね笑笑
ユイトはすごいね!
ビンゴいっぱいじゃん」
ユイト「・・・・・・・・・・・・先生!」
先生「は、はい?
ユイトくんどうしたの?」
ユイト「最後の1個、
俺に言わせてください!」
先生「はい、
いいですよ。
なんの単語ですか?」
ユイト「"love"です!」
"love"って、、、
私、ビンゴになる!!!
ユイト「"love"の単語は
俺からのプレゼント」
サラ「ありがとう」
ユイト、、、
私がビンゴになるのを
知ってて、、、
* ――― * ――― *
家に帰ってから、
ユイトに貰った
半分の消しゴムを
無意識に転がしていた。
ユイトって、
なんでこんなに
性格がいいんだろう。
だから友達が多いんだ。
ユイト、好き。
これ以上黙ってたら、
溢れちゃいそうで、怖い。
明日、告白しよう。
* ――― * ――― *
翌日。
昼休みに
告白することにした。
図書室で
一緒に勉強する、
そういって
誘おうと思っていた。
授業中に思いついたので、
その授業はソワソワして、
集中できなかった。
ユイト「、、、!
ラ、、、!
サラ!!!」
サラ「えっ、
あっ、はい!?」
ユイト「なんかさっきから
ぼーっとしてたぞ?
熱でもあるんじゃないのか?笑笑」
そういってユイトは
私の額に手を伸ばしてきた。
緊張して、
ドキドキして、
あー、好きだって、
赤面してしまった。
顔が熱い。
ユイト「え、ほんとに熱いぞ?
大丈夫か?!笑笑」
サラ「だ、大丈夫!!
あ、それよりね、
その、、、」
ユイト「ん?
なんだなんだ?」
ユイトが私の顔を
覗き込んできた。
ますます
緊張しちゃうよー!!!
サラ「今日、昼休みにさ、
図書室で勉強しない??
テストも近いし、、、」
ユイト「あ!
行きたい!!
一緒に勉強しよ!」
サラ「よかった!
じゃあ、昼休みに」
ユイト「おー!」
言ってしまった。
よし!
もう、当たって砕けろだ!!
* ――― * ――― *
キーンコーンカーンコーン♪
私は少し早めに
図書室に行こうと
思って入ると、
先にユイトがいて、
席をとっておいてくれていた。
ユイトはやけに
分厚い辞書を持ち、
何かを調べていた。
サラ「ごめんユイト、
遅れた」
ユイト「ううん、
大丈夫」
いつまでも
立っているのも
あれだから、
私はユイトの
隣の席に座った。
カチコチ、
カチコチ、、、
今、図書室には
ユイトと私の
2人しか居ない。
静かすぎて、
時計の音と
シャーペンで文字を書く
サラサラという音、
それに私の緊張しすぎている
心臓の音しか聞こえない。
ユイト「なあ、
サラ、、、」
サラ「んー??」
ユイトの顔が
こわばっている。
それに真剣な瞳は
いつものように
輝きを放っているわけではない。
何秒間も
見つめあっていて、
私は今しかない、
そう思った。
口を開こうとすると、
ユイトが話をはじめた。
ユイト「サラ、
俺はすこしでも
お前に追いつけるように、
勉強をすごく頑張ったんだ。
わからない単語は辞書で調べた。
この前のloveって単語。
今使うべきなんだってな。
サラ、俺はお前が好きだ」
サラ「私も好きです」
ユイト、
ありがとう。
あの時の消しゴムは
今でも大切なお守りです。
*end*