「ねぇねぇ、
これはなんの飴?」
「魔法使いに
なれる飴だよ~」
「えぇ!
ほんとうに~?」
*...・・・*...・・・*
またあの夢だ。
お姉ちゃんが私にくれた
最後の飴の話。
こんにちは。
溝部ひかるです!
魔法使いなんだけどね、
それを隠して人間界の
私立高校に通ってる。
お姉ちゃんが家から姿を
消す前に最後にくれた飴が、
魔法使いになれる飴だった。
あの飴を舐めた次の日から、
私は魔法の飴を
作れるようになった。
お小遣いアップの飴、
病気を治す飴、
緊張しなくなる飴・・・
ほんとにいっぱい作った。
私が欲しいと思った効果の
飴が作れる仕組みになってる。
*。・ 登校中 ・。*
か「おい、ひかる!」
ひ「わ! かいと。
なに?」
か「さっきっから
何回呼ばせんだ、クソが」
ひ「あ! クソって言うな!
口悪い」
か「うっせーなー」
この人はかいと。
こんなやり取りが
大好きなの。
自然に話せてる時が
1番楽しい。
私は、カイトが好き。
だけどカイトは、
すずなちゃんが
好きなの。
というか、2人は
付き合ってる。
すずなちゃんは、
ほんとに可愛くて優しくて、
いつ見ても素敵だなって思う。
か「あ、すずなだ」
ひ「ほら、行ってきなよー!」
か「おう!」
ひ「楽しんでおいでね~」
あー、今日もか・・・
まあ、しょうがないよね。
*。・ 教室 ・。*
ひ「ひかるさ、
告っちゃえば?」
ひ「あ、ひびき。
おはよう。
朝の第一声が
それってどうなの?」
ひ「だってさ、
いつまで経っても
言わないんだもん」
ひ「だってカイトには、
すずなちゃんが・・・」
ひ「私なんて、先輩と
付き合ってた人に告って
振られてるんだから、
それよりマシでしょ?」
ひ「うーん」
でもな。
あ、そういえば。
私には飴があるじゃん。
*。・ 部屋 ・。*
ひ「好きな人と上手くいく
飴がほしい」
・*・°・°・*・
ピンク色の飴。
恋の色。
これで、これでやっと
カイトと付き合える。
*。・ 告白の日 ・。*
この飴さえあれば。
だいじょぶ。
ひ「カイト、あの・・・
好きです!
カイトにはすずなちゃんが
いるって分かってるけど、
・・・だから。
この気持ちだけ、
知っておいて」
か「ひかる、お前、
告白成功したと思ってる?」
ひ「え、?」
か「おれさ、魔法使いなんだ。
花の。
お前、姉ちゃんいるだろ?
お前の姉ちゃん、俺の兄貴と
付き合ってんだ。
それで、兄貴からお前の姉の
話は聞いてた。
飴の魔法使いだってことも知ってた。
だからお前もそうなんだろうなって思って。
ちなみに俺の兄貴も花の魔法使い」
ひ「どゆこと?」
か「だから、俺はお前が
魔法使いだって知ってるんだ。
飴を使って告白しようとしてるのも、
花に聞いてわかった。
でも俺はやっぱ、
魔法に頼った告白をOKはできない」
ひ「そっか、かいとも
魔法使いだったんだ。
そっか、そうだよね。
ありがとう、かいと!
これからもよろしくね!
かいとが魔法使いだってことは
みんなには黙っとくから!」
か「おう、宜しくな」
魔法じゃなくて、
自分で努力して
可愛くなったから、
すずなちゃんは
キラキラしてるんだ。
魔法じゃなくて、
ホントの気持ちを
ホントの言葉で
伝えられるようになろう。
ちゃんと言うよ。
かいと。もう一度。
*end*